就職の際には、モノづくりに携わりたいという漠然としたイメージを持っており、専攻していた有機合成を生かせる職種として化学メーカーの技術職を考えていました。藤本化学では医薬品原薬、中間体の受託製造を行っていることから、多様な有機化合物、反応を小~大スケールの様々なケースで扱うことができると知り、興味を持ったことが入社のきっかけです。
先輩にサポートしてもらいながら医薬品中間体(側鎖)の製法改良、スケールアップ検討を担当しました。自分の実験データをもとに、数トンレベルで製造する製法として確立させることに関し、やりがいと同時にプレッシャーも感じました。
工場スケールで実施可能な反応、後処理、晶析などの操作を、検討により設定する必要があるのですが、工場スケールで出来ることと出来ないことを理解していないと検討になりません。また、学生時代ではあまりなじみのなかったプロセス化学の理論や、種々の分析装置についての専門的な知識も必要です。1年目は出来る限り知識を吸収できるように努めました。
社内の部署間にとらわれず製造部門や品質管理部門の先輩方にも相談し、多角的に検討を進めました。また、自ら社外の講習会や学会に積極的に参加し、知識を深めるように取り組みました。自己啓発への支援は当時の上司も積極的であったため、この点ではやりやすかったです。
大手製薬企業から委託された原薬などの有機化合物の製造について、スケールアップ製法の確立から、工場での製造までが仕事内容です。なお、GMP製造のため、文書、記録の作成に多くの業務時間を費やすこともあります。
これまで多数の製品について、所望の品質、収率でのスケールアップを成功させてきましたが、始めは経験不足のため多くの失敗もしました。特にスケールアップの想定が十分でなく、例えば5時間程度で終わると見込んでいた製品のろ過が、24時間ぐらいかかったりしたこともありました。これらの失敗も糧にして、現在では精度の高いスケールアップができるような製法づくりを行っています。
医薬品Dの製造では気液反応を大スケールで実施する必要があったのですが、製法の設定が適切か、十分であるかなど、かなり悩みました。気液反応のスケールアップの場合、液中への気体の供給効率が低下しうることは教科書にも書いています。ところが、この懸念を具体的にどのように払拭し、製法として確立させるかは、各企業で独自に技術を開発している部分も多くありますので、藤本化学としての技術確立に頭を悩ませました。
気液反応のスケールアップにおいてはチームでの研究であり、意見を出し合って技術を確立していきました。また、委託元の製薬企業の研究者とも合同でデータ取得も行いました。社内だけでなく、社外の研究者ともデータを提示しあい、議論したことで、問題の解決につながったと考えています。
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